所持している工場を解体する際、依頼主はどんなことに気をつけるべきでしょうか。
ひょっとしたら費用もいくらかかるのかが全くわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんなイメージの湧きにくい工場解体工事についてご紹介します。
イメージが湧きにくい工場解体工事について知ろう
工場を解体する費用はどのくらい掛かるのでしょうか。
また、工場内で使っていたプラント設備は誰に解体をお願いするのか、どんな業者が理想的なのか、分からないことづくしかもしれませんね。
イメージが湧くように少しずつ勉強していき、信頼の置ける業者を見極めるようにしましょう。
坪数別工場解体工事費用の坪単価の相場
まず、工場解体工事費用を坪数別で相場をご紹介します。
工場の構造で多いのが、鉄骨造やコンクリート造です。
そのため、居住用の住宅に多い木造住宅とは解体工事には時間が掛かり、強度もあるため重機を使った工事作業が行われます。
下記に坪単価で相場を記しました。
しかし、工場の解体工事によってはアスベスト除去工事費用などが含まれ、相場よりも割高になる可能性も出てきます。
ですので、この相場はだいたいの目安としての参考にし、実際に業者に見積もりを取った際に比較してみると良いでしょう。
坪単価別の解体工事の相場
10坪台:3.0万円/坪
20坪台:2.7万円/坪
30坪台:2.8万円/坪
40坪台:2.8万円/坪
50坪台:3.3万円/坪
60坪台:5.6万円/坪
70坪以上:2.3万円/坪
地域別工場解体工事の実例
では、実際に工場解体工事を行った実例をご紹介します。
工場解体する際に必要な作業や費用など、自分たちの工場を解体する際にイメージできるように工事作業内容も見るようにしてくださいね。
344坪・1階建・鉄骨工場解体
工事場所:神奈川県厚木市
建物種類:鉄骨工場
坪数:344.80坪
階層:1階建
解体方法:重機解体中心鉄骨造倉庫解体工事(基礎・土間コンクリート撤去含む)
:1140㎡ 8,208,000円
軽量鉄骨平屋建解体工事(基礎・土間コンクリート撤去)
:129.6㎡ 933,120円
植栽・下草撤去処分
:35㎡ 385,000円
防火用水槽撤去工事 5m×10m
:1式 400,000円
土間コンクリート撤去処分(建屋外)
:1式 300,000円
フェンス撤去処分工事(4面)
:158m 142,200円
重機回送費
:1式 150,000円
養生シート(防音シート4面架け)
:760㎡ 532,000円
焼却炉処分
:1基 35,000円
残置ゴミ処分費
:15㎡ 135,000円
諸経費
:1式 40,000円総合計金額:11,260,320円
上記のように、建物本体だけでなく防火用水槽撤去や焼却炉処分など工場で作業していた際に使っていた設備の解体工事も一緒に行うことがあります。
坪数が大きいだけもあり、解体工事だけでも1,000万円をゆうに超えてしまいます。
99.20坪・1階建・アスベスト除去工事付き鉄骨工場解体
工事場所:静岡県掛川市
建物種類:鉄骨工場
坪数:99.20坪
階層:1階建
解体方法:重機解体中心
備考:スレート屋根材撤去費用込み工場解体工事 工場内部木組部屋部撤去処分 2ヶ所
:1式 80,000円
工場解体工事 工場内部残置不要物撤去処分 人力機械併用・片付け手間含む
:16㎡ 176,000円
工場解体工事 スレート葺上屋解体
:327.8㎡ 590,040円
工場解体工事 スレート処分 石綿(アスベスト)含有建材・運搬処分 安定最終処分
:16㎡ 288,000円
工場解体工事 工場土間基礎撤去
:327.8㎡ 721,160円
工場解体工事 外部不要物撤去処分 人力機械併用・片付け手間含む
:20㎡ 220,000円
工場解体工事 建物解体
:1棟 30,000円
工場解体工事 外部土間撤去
:220㎡ 220,000円
仮設工事 外周解体養生
:324㎡ 259,200円
重機回送費 2機+ミニ重機1機
:1式 120,000円
諸経費 10% 外周草刈り含む(処分は無)
:1式 277,440円
スクラップ値引 内外不要物スクラップ含む
:327.8㎡ -655,600円
値引
:-96,240円
総合計金額:2,300,000円
上記の見積もりは、アスベスト含有建材を使用している場合の内容です。
この工事はスレート屋根材に含まれていたため、安全に処分するためにその部分の費用が掛かっています。
この見積もりでは、値引などもあり、230万円で解体工事を抑えられています。
しかし、もしアスベストの事前調査や成分調査などを行う場合は、その費用もかかってきます。
そのため、その分の予算配分を忘れないようにしましょう。
ただ、業者が目視でアスベスト含有建材の存在を確認した場合、事前調査をせずにアスベスト除去工事を行うこともあります。
そうすれば、アスベスト除去工事のみの費用になるため、調査等の費用は掛かりません。
この調査や工事が必要かどうかは、業者の現地調査で判断してもらうようにしてくださいね。
工場解体工事の価格・費用を安く抑えるには?
工場解体工事は、一般の家屋解体工事よりも費用が多く掛かってしまいがちです。
仕方ないと思っていても、いくらか安くしたいと思うのが依頼主の本音ですよね。
では、解体工事費用を少しでも安くするために、依頼主である私たちもちょっとした手間を掛けてみましょう。
中間マージンが極力かからない業者に依頼がコスト削減
まず、中間マージンが掛からない業者に依頼する事が費用を節約する一つの方法になります。
中間マージンとは、業者が下請け業者にさらに工事を依頼する際にかかる手数料のことです。
解体業者によっては、受注をした工事を下請け業者に投げる業者もあります。
そのため、下請け業者も関わってくるようになり、その分の手数料が掛かります。
その中間マージンが依頼主の見積もりに加わってしまうので、出費がかさんでしまいます。
自社施工の会社に工事を依頼するようにすれば、その分の手数料が掛かりません。
見積もりを依頼する際に、自社施工かどうかを業者に確認を取りましょう。
また、建設機材や重機を自社で保有する会社を選ぶと良いでしょう。
解体業者が機材や重機をレンタルしていると、その分のリース料金がかかり、これもまた依頼主の出費に影響します。
自社保有の機材があるかどうかも節約の鍵になります。
これも自社施工なのか確認した際に一緒に聞いてみると良いでしょう。
相見積もりで業者を比較
相見積もりを取る事は、工場解体工事だけでなく解体工事を依頼する際の基本中の基本と言っても過言ではないでしょう。
解体業者の中には、不要な作業を盛り込んで見積もりを高く出したり、逆に安過ぎる見積もりを提示して工事中に不法投棄を行ったりするような悪徳業者もいます。
そういった業者に依頼主が引っかからないためにも、必ず相見積もりは取りましょう。
また、相見積もりを取って複数社の見積もりと工事内容を比較してみましょう。
ある会社では項目に入っている作業が他の業者の見積もりは含まれていなかったり、同じ作業でもより安い価格を出している業者がいたりなど、具体的な数字で見比べる事が出来ます。
その中で、自分たちが納得のいく価格で工事を行ってくれる業者を決めやすいと思います。
ただ、相見積もりお断りの業者もたまにいますので、相見積もりを取って良いかどうかを先に確認する事だけはお忘れなく。
工事時期の相談と自分たちでの廃棄処分でさらに節約
依頼主の協力で、もう一押し費用を節約できる場合もあります。
例えば、依頼する解体工事が急を要するものでなければ、解体工事業者の都合に合わせて工事が空いている時期に工事をお願いすることです。
混む時期に工事を依頼するよりも安くしてくれる業者も中にはあります。
他にも、自分たちで出来る事は自分たちでやってしまって、工事費用を節約する手もあります。
例えば、不用品の廃棄処分や庭木撤去を自分たちで行ってしまいましょう。
あまりに大きいものや危険を伴うものは、業者にお願いすべきです。
しかし、そうではなく自分たちで出来そうだなと感じるものがあれば、怪我をしない程度に処分してしまうと良いしょう。
依頼する側のちょっとした努力でも費用を節約できますので、実践してみると良いと言えます。
工場のプラント設備解体も忘れずに
工場を保有している方は、プラント設備の解体についても気になる方がいるのではないでしょうか。
建物本体の解体工事にばかり目がいってしまい、設備の解体工事計画を忘れていたなんてことにならないように注意しましょう。
プラント設備解体に必要な3つの条件
プラント設備の解体工事は、建設業許可(建築工事業、とび・土工工事業、解体工事業のうち一つ)もしくは解体工事業登録(税込請負金額500万円未満の工事)を所持する通常の解体業者に依頼すれば良いです。
ただ、建物本体の解体工事とは違うプラント設備解体工事ならではの特徴があり、必要になる主な条件も3つあります。
その点を押さえられている業者を選ぶ事が、良い解体工事業者を選ぶポイントにもなると思います。
大型重機
プラント設備を取り壊すためには、ロングブーム車や3ピースアーム車と呼ばれる大型の重機が必要になります。
それらの重機を持っている業者であれば、プラント設備解体を安心してお願い出来るでしょう。
構造に対する理解
建物本体とは違った複雑な構造をしている事がプラント設備には多いです。
外観や図面などから、どんな構造をしているのかを読み取る力のある方でなければ、適切な工事を行えない可能性もあります。
ですので、構造に対する理解があり、プラント設備解体工事の実績のある業者を探す方が必要になります。
有害物質除去への理解
プラント設備にはアスベストが使用されていたり、ダイオキシンが付着したりしていることが多々有ります。
プラント設備に関する知識の乏しい方だと、そのまま解体して有害物質を周囲に撒いてしまう恐れが出てくるかもしれません。
専門業者と協力しながら、有害物質の除去を慎重にやってくれる業者が望ましいでしょう。
工場解体における固定資産税について
工場に限らず、土地や家屋には固定資産税が課されます。
これは土地や家屋を所有してから毎年支払う税金になりますが、土地に建てられた家屋を解体した場合は、その家屋分の固定資産税は支払う必要がなくなります。
住宅用の家屋を建てていた場合、その土地に掛かる固定資産税は特例措置により軽減されていました。
家屋を解体した時には、この固定資産税の軽減措置を受けられなくなり、通常の税金を支払わなくてはならなくなります。
そのため、以前よりも高い税金を支払わなければならなくなるのです。
建物を解体すると土地の固定資産税が高くなるという認識を持つ方も中にはいます。
ただ、これは住宅用の家屋の話で、工場を建てていた場合は違ってきます。
工場は住宅用ではないため、そもそも固定資産税の軽減措置はありません。
ですので、工場解体をした場合、家屋の固定資産税がなくなって土地の税金のみで済むのでその分税額は下がります。
工場解体後も土地を保有する方は、解体後の税金事情として頭の片隅にこの知識を置いておくと良いかもしれませんね。
経験豊富な解体業者に工場解体の依頼をしよう
工場解体する際には、ぜひベテランの解体工事業者にお願いする事をお勧めします。
工場のように規模が大きいものを解体する際は、重機や機材の扱いが慣れており、有害物質への理解や専門業者の人脈があることも必要です。
鉄骨やコンクリートなど、木造よりも硬くて重い材料を取り扱うので、大きな危険も伴います。
また、プラント設備のように一般家庭にないようなものも取り扱わなければなりません。
これらの知識を満遍なく持った業者を見つけ出すことが理想的ですね。
決して安い見積もりにだけ釣られずに、業者を比較して優秀な業者を見極めて選ぶようにしましょう。
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