解体工事のマニフェスト

解体工事における「マニフェスト」というものはご存知ですか?
工事を依頼した事がない方だと、その名称すら聞いたことがないかもしれませんね。
実は、このマニフェストの有る無し、業者がマニフェストを提示するかどうか、工事完了後に必ずマニフェストを依頼主に渡すかどうかで、業者の質を測る事も出来るのです。

では、マニフェストについてご説明しましょう。

解体工事で産業廃棄物の処理は大丈夫?

建物の解体工事をすると、必ず産業廃棄物が出ます。
この廃棄物の排出事業者(ゴミを出した本人)は業者になりますが、この廃棄物の処理を行うのももちろん業者です。

しかし、業者によっては産業廃棄物処理に掛かる費用をケチって不法投棄をする業者も存在します。
この不法投棄はもちろん犯罪ですので、解体業者は罰則を受けます。

そして、なんと依頼主であるお客様も罰則を下されてしまい、懲役刑もしくは罰金刑を受けます。
こうならないために、解体業者がきちんと処理を行ったかどうかを確かめる必要があります。
その手段が、「マニフェスト」です。

そのそもマニフェストとは何でしょうか?

マニフェストとは

産業廃棄物処理を業者が、きちんと行ったかどうかを確かめる手段がマニフェストであるということは説明しましたが、そもそもマニフェストが何なのか疑問に思う方もいると思います。

マニフェストとは、「産業廃棄物管理票」とも言います。
排出事業者は、産業廃棄物の処理を委託する時、産業廃棄物の種類、数量、運搬業者名、処理業者名などを明記したものを業者から業者へ廃棄物と共に渡します。
そして、その明記したものを各業者が確認しながら廃棄物処分に当たります。
この「明記したもの」こそが、「マニフェスト」です。

マニフェストは、廃棄物処分終了後には排出事業者の元へ戻ってきます。
手元に戻って来た時には、マニフェストの中には各業者から処理終了を記載されており、委託内容通りに廃棄物が処理されているかどうかを確認する事が出来て、不適正な処理を行っていないかどうかの確認をします。

マニフェストが存在する事で、環境汚染や不法投棄など不適正な処理によって起こる問題を未然に防ぎます。

マ二フェストが受け渡しされる道筋を知っておこう

マ二フェストが受け渡しされる道筋

まず、マニフェストは大きく分けて2種類存在します。

ひとつは7枚綴りの紙のマニフェスト、もう一つは電子媒体の電子マニフェストです。
建設業界は、コンピューターなどのデジタルに弱い方が比較的多く、電子マニフェストの普及間率は半数以下で、紙媒体のマニフェストを利用している解体業者の方が多いのが現状です。

では、7枚綴りの紙マニフェフェストはどのように利用され、産業廃棄物が処理されていくのか、その道筋を説明していきたいと思います。

7枚綴りの紙マニフェスト

7枚綴りの紙マニフェストは、A票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票、E票とアルファベットと数字が付けられており、それぞれに役割があります。

まず、解体現場の住所、解体業者の名称および、所在地、ゴミの種類や数量、運搬先の事業所の名称および所在地、処分する業者の名称および所在地など、必要事項を記入したマニフェストの中のA票を、解体業者が控えとして手元に残しておきます。

次に残りの6枚は、廃棄物を運搬する業者に渡します。

運搬業者は運搬先に届けたらサインと押印をし、B1票を控えとして手元に残してB2を処理が終わった事への証明として解体業者へ返送します。
そして、残ったC1、C2、D、E票を廃棄物の処理業者へ渡します。

廃棄物の処理業者は、まず中間処理が終わった時点でサイン・押印をしてD票を解体業者、C2票を運搬業者に返送します。

中間処理終了後、最終処分を行った業者は最後に残ったE票にサインをして押印をし、解体業者へ返送します。
返送されたE票が届き、解体業者の手元にA票、B2票、D票、E票が揃い、きちんとサインと押印がされている事で、適正な処理が行われたことが確認出来ます。

電子マニフェスト

電子マニフェストでは、排出事業者(主に解体業者)、収集運搬業者、処分業者が情報処理センターを仲介して、電子化されたマニフェスト情報をデットワーク上で確認しながらやりとりが可能です。
詳細については、「公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター 情報処理センター」のホームページに記載されていますが、平成27年8月~平成28年7月までの1年間に電子マニフェスト登録をした件数は、21,856千件で電子化率は44%になります。
登録率は徐々に上がっており、利用者が増えている事が伺えます。

では、この電子マニフェストを導入することによって、どういった事が改善されるのでしょうか。

事務処理の効率化

まず、「事務処理の効率化」されます。
画面上での作業になるので、入力操作が簡単になり、手間が掛かりません。
紙ベースだと、廃棄物が処理されるまでの状況は伝票が届かないと確認が出来ませんでした。

しかし、電子マニフェストは画面上に処理状況を入力するため、瞬時に状況を把握することが可能になりました。
自分が確認したい時に、事務所ですぐに確認する事が出来るので、電話などでの状況確認をする回数が減りますね。

また、ネットワーク上のマニフェストはダウンロードして各自活用出来ます。
パソコン上に保存するため、紙ベースを保存するスペースを確保する必要がなくなります。

法令遵守

次に、「法令遵守」です。
紙ベースだと記入漏れなどのミスも発生しやすくなってしまいます。
しかし、電子マニフェストは法で定める必須事項を、必ず記入させるため漏れ防止が可能です。
各作業終了時にはネットワーク上の一覧表、電子メールでの報告により、確実に確認する事が出来ますし、情報共有もしやすいです。
また、各作業終了報告の確認期限が近づいた場合、排出事業者(解体業者)に注意喚起されるので、状況把握がしやすくなります。

データの透明性

「データの透明性」もメリットに挙げられます。
マニフェスト情報は情報管理センターが管理・保存しており、セキュリティも万全にしています。
排出業者(解体業者)・収集運搬業者・処分業者の3者が常にネットワーク上でマニフェスト情報を閲覧・監視出来るため、不適切な登録・報告があればすぐに発覚します。
そのため、そういった不適切な行為を発生し辛くする事が出来ます。

産業廃棄物管理票交付等状況報告が不要

「排出事業者の産業廃棄物管理票交付等状況報告が不要」になります。
紙ベースでは、廃棄物処理を行った際に都道府県等の自治体への報告が必要になります。
しかし、電子マニフェストを利用することで、利用した分のマニフェストは情報処理センターによって都道府県等に報告されるので、業者の負担が少し省く事が出来ます。

電子マニフェストには以上の4点のメリットがあります。
実際に利用した方のアンケートによると、90%以上の方がマニフェスト業務量の軽減を実感している模様です。
後ほど説明しますが、建設業界では未だに悪徳業者が多く存在しています。
中には、マニフェストを無視して不法投棄する業者もいます。
そんな悪徳業者に依頼主が捕まらないためにも、電子マニフェストを利用している業者を探すことは、業者選びに必要な条件かもしれません。

上記のメリットから、電子マニフェストの利用によって、適切な処理への高い意識を持つ業者と出会いやすくなると良いですね。

マニフェスト制度の違反者には罰則が!

マニフェスト制度の違反者には罰則

先述しましたが、悪徳業者が多く存在する業界のため、マニフェスト制度を無視する業者も多く存在します。

法律では、産業廃棄物を処分する際には、マニフェスト伝票の記載・交付が義務であると決まっています。
これを違反した場合は、6ヶ月以上の懲役もしくは50万円以下の罰金を受けることになります。

また、業者による委託基準違反やマニフェスト不交付・未記載・保存義務違反などが発覚した場合も罰則されます。
業者に解体をお願いする際は、マニフェストの記載・交付が可能かを必ず確認しましょう。

業者によっては、現場で出た産業廃棄物を地中に埋めたり、人気のないところで不法投棄したり、自分たちで野焼きしたりする違法行為をする者もいます。
不法投棄は、発見されると持ち主を特定され、依頼主の方へ連絡が来る可能性もあります。

そのため、実際には解体業者が不法投棄したにも関わらず、依頼主が違法行為したのではと疑われる可能性が強くなります。

もし罰則を受けることになった場合、この前科は一生付いて回るため、様々なところで信用度が低くなる可能性もあります。
受ける必要のない罰則を受けないためにも、業者との確認は手間と思わずに小まめに行いましょう。

ちょっとした確認で悪徳業者から身を守ろう

悪徳業者

先ほども言いましたが、ちょっとした確認が私たちの身を守る技になります。
解体工事契約前に、マニフェストの記載・交付をしてくれるのかは、しっかりと確かめておきましょう。

しかし、これだけで安心しないようにはしましょう。
悪徳業者の中には、巧みに言葉で信頼させて、きちんと作業を行わない業者もいます。

では、悪徳業者の手口について、2つのパターンをご紹介します。

マニフェストの写しを渡さない

マニフェストを確認させてほしいと依頼主が業者にお願いしたにも掛からず、何かと理由を付けてマニフェストを見せようとしない業者もいます。

こういった業者は、マニフェスト制度に則った廃棄物処理を行っていない可能性が高いです。
依頼主の家屋を解体するので、工事中に発生した廃棄物の処理方法を依頼主に確認してもらうことは、当たり前のことですし、信頼関係を良好にするためにも必要なことです。

それにも関わらず、提示を拒否する業者には、何度もお願いして確認させてもらうようにしてください。
それでも拒否する場合には、近くの役所などに出向き、マニフェストが発行されているか、発行されてない場合の相談をしましょう。

偽物を作って渡す業者も存在

マニフェストの確認をお願いして、写しをもらえても100%安心出来ない場合があります。
なぜなら、別工事のものに手を加えて偽物を作成する業者も存在するからです。
これは非常に悪質な手口で、偽物かどうかの確認は非常に難しいです。
マニフェストを手に入れた際、何か怪しいと感じた場合、伝票に押印・サインされている運搬業者・処理業者・最終処理業者に確認をとってみましょう。

もしその業者が存在しない会社だったり、マニフェストに書かれている日に処理を行っていないと発覚した場合は、不正を働いている可能性が高いのです。
このようなことをする業者も中にはいるということは覚えておいてくださいね。

マニフェストを発行しない例外ケースもある

マニフェストを発行しない例外ケース

マニフェストの提示を業者にお願いすることは、適切な廃棄物処理をしているかどうかの確認のために非常に大切な手順になります。
ですが、実は悪徳業者ではない解体業者でもマニフェストを発行しないケースが2つあります。

業務を一貫して請け負う場合

ひとつは、解体施工業者が運搬・処理・最終処分を行う資格や許可を持ち、車両や処理施設などを持っている場合は、全てを一貫して請け負う事になります。
そのため、運搬・処理・最終処分を他業者に依頼するといった手順もなく、マニフェストを送るといった事をする必要もないため、マニフェスト発行は必要ありません。

廃棄物の保管場所を所持している場合

もうひとつのケースは、解体施工業者が廃棄物の保管場所を所持している場合です。
業者はこの保管場所に、複数の解体工事の廃棄物を同じところにまとめて保管しています。
そのため、その廃棄物がどの解体工事で発生したものか把握することは非常に難しくなりますので、マニフェストの発行もありません。

マニフェストを見せてもらえないからと初めから疑いをかけて信頼関係を壊さないように気をつけましょう。
また、それでもマニフェストがない事に不安を思うようなら、解体施工業者が運搬・処理・最終処分を行う資格・許可や、廃棄物保管施設を所持しているかを質問してみると良いでしょう。

資格・許可、保管施設の所持などにはそれぞれ証明書などがあると思うので、その写しを見せてもらえば安心出来るのではないでしょうか。

マニフェスト伝票は解体完了からいつ届く?

マニフェスト伝票は解体完了からいつ届くのか

例外ケースを除いて、必ず発行されるマニフェストですが、依頼主の元にも写しは頂けます。

マニフェストが依頼主の元へ届くのは、解体完了から1ヶ月程度が一般的になります。
先日したように、解体工事で出た廃棄物を処分する際、運搬業者や処分業者に委託するため、解体業者のマニフェスト発行や、処分場での作業、解体業者へ伝票返送などのやりとりが続くため、工事完了後もだいたい1ヶ月ほど作業は行っています。

ですので、最終的に依頼主の元へマニフェストが届くのも1ヶ月は掛かってしまいます。
もし不安な場合は、解体業者にどのくらいで届くのかを聞いておくと、だいたいの目安になって良いでしょう。

マニフェストの確認は解体工事のトラブル防止

解体工事だけでなく、建設工事では産業廃棄物の発生は必ずあります。
業者がきっと処分してくれていると安心しきって、ろくに確認しないままにすると、自分たちが罰則を受ける可能性もあります。
トラブルを発生させないためにも、マニフェストの確認は必ず行いましょう。

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