解体工事のアスベスト

近年、アスベストによる健康被害が問題視されています。
実はアスベストは私たちの生活に身近に存在する鉱物です。

解体工事を行う方には、特に注意して工事に取り掛からないと、依頼主や業者だけでなく近隣住民にも多大なる害を被る恐れがあります。
今回は、アスベスト問題について、アスベストそのものについて、そしてその対策や工事についてご説明いたします。
安全な解体工事が行えるように、アスベストについて学習していきましょう。

アスベストとは一体何?

アスベストは石綿とも呼ばれ、昭和30年ごろから使われ始めた鉱物です。
安くて耐火性、耐熱性、防音性など多様な機能を有しており、その機能の高さから「奇跡の鉱物」とまで呼ばれて重宝されていました。

しかし、アスベストのばく露後数十年を経て、中皮腫や肺がん等の重い病気を発症し、健康被害を発生させる鉱物だと発覚し、社会問題にまで発展しました。
そのため、アスベストを使用する製品の製造が順次禁止されるようになったわけです。

また、既にアスベストを使用されている建築物の解体等工事を行う場合、その工事に伴うばく露防止や一般待機環境中への飛散防止対策の強化が図られています。

建設リサイクル法のアスベスト問題への取り組み

建設リサイクル法

環境省の「解体等工事を始める前に」によると、建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)では、他の建築廃棄物の再資源化を妨げないように、石綿(アスベスト)含有建築材料は、原則として他の建築材料に先がけて解体を行い分別しておく事が規定として定められています。
また、建築基準法や労働安全衛生法など様々な法律・規則にアスベストの取り扱いについての規定があり、その影響力の大きさが伺えます。

解体工事のアスベスト事前調査の義務付け

建設副産物リサイクル広報推進会議による「建築物の解体等に伴う有害物質等の適切な取り扱い」によると、下記のように記載がありました。

建築物の解体工事では、建設リサイクル法や労働安全衛生法(石綿障害予防規則)、大気汚染防止法、フロン類法により事前調査や事前措置が義務付けられています。

参考URL:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/fukusanbutsu/asbest/yuugai.pdf

これはアスベストだけでなく、数々の有害物質等が現存の建築物にどれだけ使用されているのか、どのように解体工事をすれば被害が広がらないかを知るために重要になってきます。

工事完了まで標識設置と提示

事前調査を行ったら、アスベストの有無に関わらず、調査結果を解体工事の場所に提示しなければなりません。
また、解体工事や石綿(アスベスト)除去工事等を行う際には、その旨を記した標識を現場に設置し、工事が完了するまで提示しなければなりません。

近隣住民への説明も着工前に行わなければなりません。
説明する内容は、建築物の規模・構造・隣地との位置関係、工期・解体方法・作業時間・作業内容、騒音・振動・粉じん等に対する公害防止対策、工事車両の通行経路及び資材・廃材等の搬出経路、アスベストの使用状況及び使用されている場合の除去方法などです。

これらの内容は、アスベストの有無にかかわらず、解体工事を開始する前には近隣住民へ丁寧に説明する必要があります。
説明をしていないと、近隣住民から不信感を抱かれる恐れもあります。
何より近隣の方々が、アスベスト等有害物質の存在に不安を感じながら生活することになってしまいます。
ただでさえ、騒音や工事車両等でストレスを抱えがちな解体工事にさらに健康被害の不安にならないよう、業者の事細かい説明で安心させる事が大切です。

解体工事でのアスベスト飛散防止政策について

アスベスト飛散防止政策

環境省によると、アスベストが使用されている建築物等の解体工事の際、アスベストの除去に係る作業を開始する14日前までに、都道府県等に届け出を行い、アスベスト飛散防止のための作業基準を守りながら工事を行わなければなりません。
この届け出のことを「特定粉じん排出等作業届書」と言い、アスベスト除去作業のうち、作業レベル1・2の場合に事前に提出しなければなりません。

アスベスト飛散防止対策の対象になる特定建築物材料は、吹付け石綿(アスベスト)、アスベストを含有する断熱材、アスベストを含有する保温材、アスベストを含有する耐火被覆材などになります。

先述したように、これらはあらかじめ事前調査によって使用の有無を明確にしています。
作業基準については、「建築物解体等に係る石綿飛散防止マニュアル」(第2章 大気汚染防止法における石綿飛散防止対策の解説)に記載されています。

例えば、「特定建築材料が使用されている建築物等を解体する作業」について、アスベストが飛散しないように、建築物等を解体する前に、隔離、前室の設置、集じん・排気装置の使用、負圧化、湿潤化等の適切な飛散防止対策を講じつつ除去する事と明記されています。

届出義務者は工事の発注者

先ほど、「特定粉じん排出等作業届書」の提出について説明しましたが、この届出義務者は工事の発注者または自主施工者になります。
改めて説明したのには理由あります。
実はこの届出義務者は以前までは「工事の施工者」でしたが、平成26年6月1日にアスベスト飛散防止対策の強化が行われ、それに伴って届け出義務者が変更になりました。
変更になってからわずか数年で浅いため、ひょっとしたら認知していない方もいらっしゃるのではと思い、今回説明しました。
解体工事を業者へ依頼する方には直接的には関係はありませんが、安全に工事を進めるためにも頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

アスベスト含有成形版(レベル3)の除去作業について

解体等工事の際、アスベストの除去工事に取り掛かりますが、この除去工事にはレベルというものが存在します。
厳重なばく露防止対策が、必要な作業レベル1、それに準じた高い対策が必要な作業レベル2があります。

今回ご紹介するのは、作業レベル3です。
このレベルは、発じん性が比較的低い作業で、破砕、切断等の作業においては発じんをとも名うため、湿式作業を原則とし、発じんレベルに応じた防じんマスクを必要とするレベルです。
作業レベル3に該当する可能性のある建材には、岩綿吸音板や石膏ボード、対価間仕切りに使用するケイ酸カルシウム板第1種、ビニル床タイルやフロアシート、窯業系サイディングなど、比較的身近な建材があります。

この除去作業ですが、基本的に手作業を中心とするため、費用は30万円程度で抑えられます。
封じ込めや囲い込みを必要をするレベル1・レベル2となると100万円以上かかる恐れもあります。
解体工事を依頼する場合は、必ず事前調査を行い、見積もりもしっかりと確認した上で検討しましょう。

アスベストのレベルの違いは、下記の記事にもまとめてありますので参照してください。
アスベストのレベルの違いは?解体工事は適正な処理が必要

アスベストの調査をしよう

アスベストの調査

アスベストが含まれる建築物であると疑われる場合、事前調査は必ず行わなければなりません。
事前調査は、使われている建材にアスベストなどの有害物質が使用されているかどうかの成分分析になります。

事前調査・成分分析の方法

事前調査は、「図面調査」と「現地調査」の2つを実施します。

図面調査

「図面調査」とは、建物の設計図書を調べる方法です。
建築物の工事施工あるいは法的出願・契約などに必要な一般図(配置図・平面図等)詳細図(矩計図)、展開図、設備設計図、外構図、仕上げ表、仕様書、その他書類などの設計図書から、使用されている建材名をあぶり出します。
その建材名からアスベストが使用されているかどうかを判断します。

しかし、この設計図書は全てが揃っていない場合もあるため、確実とは言い切れません。
また、図面上でしか分からない事が多いため、形状によって除去する面積も変わってくるため曖昧な部分が多いです。

現地調査

図面調査の曖昧さを確実にするために、「現地調査」が行なわれます。

アスベスト含有建材が使用されている可能性が比較的高いとされている天井、壁、柱等を中心に目視によって全体を検査します。
鉄骨の建物の場合、原則として吹き付けまたは耐火被覆版を使用されているので、サンプルを採取して分析業者に分析してもらいます。
以上の2つの調査でアスベストが含まれているかどうかを確実に判断します。
その後、アスベストの有無・種類・含有率を判断するため成分分析を行います。
これも「定性分析」と「定量分析」の2つの分析方法を実施します。

定性分析

「定性分析」とは、採取した試料にアスベスト成分が含まれているかどうかを調べる分析です。
分析は、位相差顕微鏡を使用して含有を調べる「分散染色分析法」と、X線回析装置を使用して採取した試料にX線を照射して含有率を調べる「X回線分析法」を用いて行います。

定量分析

「定量分析」とは、アスベストが含まれていると認められた試料からアスベストの含有率を分析します。
分析によってアスベスト含有率が0.1%を超える場合、その建材は規制対象となります。

この時、注意することがあります。
この0.1%という数値は、2006年9月に定められたもので、それ以前は1%の含有率でした。
ですので、もし2006年9月より前に分析調査をして1%を満たさなかったために規制対象にならなかった場合でも、0.1%に引き下げられたため、再調査を行う必要が出てきます。
1度調査を受けたことがある方は、それがいつのものかを確認するようにしましょう。

アスベスト調査・分析費用はいくら?

事前調査、分析方法について説明してきましたが、これらそれぞれにはもちろん費用がかかってきます。
事前調査で行う「図面調査」は約25,000円、現地調査が約35,000円程度かかります。

成分分析で行う「定性分析」と「定量分析」の費用ですが、これらは「分散染色分析法」と「X回線分析法」のそれぞれの組み合わせによって価格が少しずつ変わってきます。
例えば、分散染色分析法での定性分析、X線回折分析法で行う定量分析ではそれぞれ約45,000円かかります。
X線回折分析法による定性分析と定量分析では合わせて約70,000円かかります。
これらは大体の相場になるので、専門の分析機関や検査項目によって費用は前後しますが、大体の目安としてこれくらいの金額を念頭に置いておきましょう。

アスベスト除去工事をしよう

アスベスト除去工事

アスベストの事前調査・成分分析をし、作業レベルを把握したら除去工事を行いましょう。
すでに述べましたが、この時必ず近隣の方に事情説明と工事のお知らせをする事を忘れないようにしてくださいね。

アスベスト除去・解体工事の費用はいくら?

では、アスベストの除去工事にかかる費用はどのくらいでしょうか。
これはアスベストが使われている場所や量によって異なりますが、大体20万円程度から数百万円程度になります。

では部位ごとに費用についてそれぞれご説明します。
以下の費用は、解体対象の建物が30坪・2階建ての場合でご紹介します。
建物の坪数によって、以下の費用が割り増しになります。
また、形状が複雑な建物だとさらに金額が変わってきますので、大体の相場として覚えておきましょう。

屋根瓦(スレート瓦、コロニアル)

屋根材にアスベスト含有建材が使われている場合、撤去費用は約20万円程度になります。
これは屋根の形状や面積によって多少前後してきますが、大体このくらいです。
工事方法は、水や薬液で瓦を湿らせ、飛散が起こらないように丁寧に瓦を剥がしていきます。
剥がした瓦は密閉性の高い容器に梱包して処分施設に運搬します。
これは作業レベル3に分類されるため費用は他よりも低く抑えられていますね。

サイディング外壁材

外壁にアスベスト含有建材が含まれている場合、撤去費用は30~40万円程度になります。
屋根瓦と同じように湿らせながら手作業で取り外します。
屋根より面積が広くなるため、費用も少し高くなります。
作業レベルは3に分類されます。

内壁・配管・柱に貼られている保温材・断熱材・耐火被覆材

ボイラーの配管や空調ダクトなどに保湿剤・断熱材・耐火被覆材が貼り付けられている場合、除去費用は1㎡あたり1.0万~6.0万円程度になります。
配管や内壁に貼られている量によっては建物全体で数百万円になることもあります。
除去方法は、周囲を密閉し、作業者も防護服を着用して行います。
屋根・外壁よりも飛散性やアスベスト濃度が高いため、これは作業レベル2に分類されます。

柱・梁・天井の石綿含有吹き付け材

アスベストとセメントの合材である石綿含有吹き付け材の除去費用は1㎡1.5万~8.5万円程度になります。
こちらも保温材等と同様、建物全体で数百万円かかることもあります。
濃度が高く、飛散性が最も高いため、作業レベルは1に分類され、非常に厳重体制で作業が行われます。

補助金の確認をしよう

場所やレベルによってかなり高額になる除去作業ですが、自治体によっては補助金が適用されることもあります。
特にレベル1の除去工事は高額費用ですので、補助が効く場合もあるので、解体工事・除去工事の際には一度近くの役所で確かめてみるようにしましょう。
アスベスト除去工事に限らず、最近では補助金制度が数多く出ていますので、賢く使って少しでも負担を減らしましょう。

アスベスト廃棄物の適正処理について

アスベスト廃棄物の適正処理

環境省によると、アスベスト含有の廃棄物(非飛散性アスベスト廃棄物)はその取り扱い方によっては表面及び破断面からアスベストが飛散する恐れがある事が分かりました。
その適正な処分・取り扱い方法について検討し、平成17年3月3日に「非飛散性アスベスト廃棄物の適正処理について」という形で通達されています。

処理計画書の作成

まず、アスベスト除去工事を行う業者は、非飛散性アスベスト廃棄物を適正に処理するため、施工計画時に処理方法について具体的に計画を立てます。
これを「処理計画書」といいます。
この計画書は、「非飛散性アスベスト廃棄物の発生量」、「非飛散性アスベスト廃棄物からアスベストの飛散を防止する撤去方法」、「現場内における分別方法」、「収集運搬及び処分方法」に留意して作成することが重要になります。
また、この計画書に基づいた処理がされるように管理体制を整え現場運営にあたると共に、関係者に周知を行う事が大切です。

処理経路

処理計画書を作成する際、保管・収集運搬・中間処理及び最終処分についての処分経路を明確にしておくことが必要になります。
廃棄物によっては、アスベストの性状が中間処理を経たことによって完全に失われたことが確認できる場合もあります。
その場合は再生利用することも可能になります。

解体現場での保管

除去工事が終わるまで、業者はアスベストが飛散しないように廃棄物を保管しなければなりません。
保管場所については、周囲に囲いを設け、飛散・流出・地下浸透・悪臭飛散防止を講じ、ネズミの生息や蚊・ハエ等の害虫発生がないことを確認して場所を定めます。
そしてその場所には、その旨その他産業廃棄物の保管に関して必要事項を表示した掲示板を設置します。
保管方法については、まず他の廃棄物と分別して保管します。
荷重により変形または破断しないよう整然と積み重ね、シート掛けや袋詰めをして飛散しないように工夫します。

収集運搬

保管された廃棄物を運搬する際、接触や荷重によって飛散する恐れがあります。
そのために、運搬車両に積み込む、または荷下ろしする時は原形のまま整然と積み込みと荷下ろしを行います。
積み込む際、運搬車両になか仕切りを設けて他の廃棄物と混ざらないようにし、現場での保管と同様シート掛けや袋詰めを行って厳重に密封します。
運搬中、廃棄物が転倒したりカーブの際にずり落ちないように固定します。
運搬車両には、現場での保管場所と同様、目につくところにアスベスト廃棄物を積んでいることがわかるように標識を設置します。

埋め立て方法

非飛散性アスベスト廃棄物の処分には、埋め立てという方法があります。
この時、荷下ろしする際に飛散しないように廃棄物を湿潤してから降ろすようにします。
そして埋め立て時は重機を用いますが、埋め立て対象物(非飛散性アスベスト廃棄物)の上に重機が直接乗らないようにしっかりと覆土した後に行います。
以上で非飛散性アスベスト廃棄物の処分が終了します。

アスベスト災害を未然に防ごう

アスベストについて、費用や調査、その除去工事や処分方法など細かく説明しました。
きっと難しく感じられたのではないでしょうか。

今回ご紹介した調査や分析、工事や処分は、主に専門業者に依頼する形になります。
依頼主であるお客様は直接触れることがない点が多いかもしれません。
ですが、アスベストを取り除くためにこれだけのことが行われ、大勢の業者の力を借りなければいけないことは私たちも知っておく必要があると思います。

また、家屋解体工事を依頼する業者がどれほどアスベストについて認知しているかを判断するためにも正しい知識を学んでおくことが大切ではないでしょうか。
環境省や国土交通省などの国の機関でもアスベストについての通達等が出ていますので、注意して確認しておくと良いでしょう。

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